コラム記事

口の後遺障害について

2014.12.31 顔(目・鼻・口)後遺障害

交通事故に遭われ、口に関する後遺障害が残存してしまう場合、自賠責保険において後遺障害等級が認定される主な症状としては、咀嚼機能障害(噛み砕く能力がなくなってしまった)、言語機能障害(上手く発音ができなくなってしまった)、歯牙傷害(歯を失ってしまった)、味覚機能障害(食べ物の味を感じなくなってしまった)などがあげられます。

口の後遺障害の認定基準は以下のとおりです。

咀嚼・言語機能障害

咀嚼機能障害は、不正な噛み合わせ、開口障害、歯牙障害(欠損等)、咀嚼機能に関する筋肉の障害、顎関節の障害などを原因として発症します。

咀嚼機能に障害があるか否かは、不正咬合(かみ合わせ)、歯牙損傷(補綴不可)、顎関節や筋肉の異常、開口障害等の原因を、医学的に確認できることが必要です。そして、その前提のもと、摂取できない食事の内容に応じて後遺障害の等級が判断されます。

そしゃく機能を廃したもの流動食以外摂取できない
そしゃく機能に著しい障害を残すもの粥食程度の飲食物しか摂取できない
そしゃく機能に障害を残すもの固形食物(たくあん、らっきょう、ピーナッツなど)に咀嚼できないまたは十分な咀嚼ができないものがある

言語機能障害は、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)を発音できるかどうかで判断されます。語音は母音と子音とに区別され、子音を講音部位に分類すると次の4種類となります。

口唇音ぱ行音、ば行音、ふ、ま行音、わ行音
歯舌音さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ、た行音、だ行音、な行音、ら行音
口蓋音か行音、が行音、ぎゅ、にゅ、ひ、や行音、ん
喉頭音は行音

上記4種の語音のうち、発音不能な語音の種類数に応じて以下のとおり後遺障害の等級が判断されます。

言語の機能を廃したもの3種以上の発音不能
言語の機能に著しい障害を残すもの2種以上の発音不能又は綴音(2つ以上の単音が結合してできた音)に障害があるため言語を用いた意思疎通ができない
言語の機能に障害を残すもの1種の発音不能

等級 認定基準
1級2号 咀嚼および言語の機能を廃したもの
3級2号 咀嚼または言語の機能を廃したもの
4級2号 咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの
6級2号 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの
9級6号 咀嚼および言語の機能に障害を残すもの
10級3号 咀嚼または言語の機能に障害を残すもの

※声帯麻痺による著しい声のかすれは12級相当が認定されます。

歯牙の障害

歯牙の障害は、以下のとおり、交通事故によって著しく欠損したかまたは失ったかした歯の本数に応じて後遺障害の等級が判断されます。

ただし、3本以上でなければ後遺障害の等級が認定されません。また、乳歯や親知らずの喪失は、自賠責保険の考える歯牙障害としては対象外です。なお、歯牙の障害においては、歯牙障害専用の後遺障害診断書に所見を記載してもらう必要がある点に注意が必要です。

等級 認定基準
10級4号 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級5号 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

味覚の逸失・減退

味覚機能障害は、舌の損傷や顎周辺組織の損傷のほか、脳の機能障害を原因として発症します。甘味、塩味、酸味、苦味の4味質のすべてが認知できない場合は12級、1味~3味が認知できない場合は14級が認定されます。

後遺障害等級の認定を受けるうえでは、他覚的所見が後遺障害診断書に適切に記載される必要があります。味覚障害の場合の他覚的所見をとるための検査としては、ろ紙ディスク法検査があります。5段階中最高濃度液で検査を受け、どの味覚が認知できないか調べます。

等級 認定基準
12級相当 味覚を脱失したもの
14級相当 味覚を減退したもの

嚥下障害

嚥下機能障害は、食道の狭窄や舌の異常のほか、脳の機能障害により咽頭支配神経が麻痺してしまったことを原因として発症します。

後遺障害等級の認定を受ける上では、機能障害の原因に応じた損傷に関する他覚的所見が後遺障害診断書に適切に記載される必要があります。

嚥下障害には味覚障害の後遺障害等級表が準用されますので、嚥下機能の減退は14級相当、嚥下機能の喪失は12級相当が認定されます。また、咀嚼と嚥下の機能障害は併合されず、双方の障害で認定された等級のうち、高い方の等級が認定されます。

特殊例

上記の他、以下の場合にも後遺障害等級が認定されます。

等級 認定基準
10級3号 気管力ニューレの抜去困難症である場合
6級2号 半永久的に抜去が困難な気管力ニューレの抜去困難症である場合

当事務所では、交通事故によって口に関する後遺障害が残ってしまった方に対し、自賠責保険において適正な後遺障害の等級認定を得られるようサポートし、最終的に適正な賠償金額を獲得できるようサポートしております。

交通事故による口に関する後遺障害でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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