コラム記事

耳の後遺障害について

2014.12.31 顔(目・鼻・口)後遺障害

交通事故によって耳に後遺障害を負ってしまった場合の症状としては、聴力障害、耳殻の欠損、耳鳴・耳漏などがあります。平衡機能障害(失調、めまい等)も、三半規管や耳石の前庭系への傷害を原因とする場合は、耳の後遺障害ということができます。

聴力障害について

聴力障害には、1耳の聴力障害で認定される聴力障害が4種類あるほかに、両耳の聴力障害で認定される後遺障害6種類があります。そのため、片耳ごとで別個に等級が認定され、両者で併合の扱いになるということにはなりません。

聴力障害については、世間で騒がれた事件のニュースでも報道されてご存じかと思いますが、ごまかしのきく検査とごまかしのきかない検査があります。自賠責保険への後遺障害等級を申請するにあたっては、医学的な立証が可能なごまかしのきかない検査(インピーダンス・オージオメトリー等)を、適切な回数頻度で受ける必要があります。

しかし、医師が治療を行うにあたっては、ごまかしがきく、きかないは関係ありません。そのため、医師としては治療に必要ない検査と考え、自賠責保険から後遺障害等級の認定を受けるための検査行っていないか、検査が行われていても条件を満たしていない可能性が高いです。検査をお願いしても、治療に必要ないとの思いから、難色を示す医師もいると思います。

また、聴覚神経の損傷による難聴は、どちらかというと耳鼻科ではなく脳神経外科や神経内科の領分です。このことも踏まえ、的確な通院先を選ぶ必要があります。

必要な時期に必要な検査を適切な回数頻度で受けるには、一般の方では判断が難しいところです。自賠責保険実務や関連する医学分野について知識、経験のある弁護士に、早期にご相談いただくことが必要であるといえます。

両耳の聴力に関するもの

等級 認定基準
4級3号 両耳の聴力を全く失ったもの
6級3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
6級4号 耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7級2号 両耳聴力が40cm以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの
7級3号 耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
9級8号 耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
10級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

片耳の聴力に関するもの

等級 認定基準
9級9号 1耳の聴力を全く失ったもの
10級6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
11級6号 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
14級3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

欠損障害について

耳殻の軟骨部が2分の1以上欠損した場合に後遺障害が認定されます。1耳ごとに認定されるので、2耳に欠損がある場合は併合して11級となります。また、外貌醜状に該当する場合は、そちらの等級と比較して高位の等級が認定されます。

等級 認定基準
12級4号 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

耳鳴・耳漏

これらは30dB以上の難聴を伴うことが条件になっている点に注意が必要です。そのため、自賠責保険へは、オージオメーター検査の結果とともに、後遺障害診断書を提出する必要があります。耳鳴りについては、所見をとるためにピッチ・マッチ検査等が有用です。

等級 認定基準
12級相当 30dB以上の難聴を伴い、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なもの30dB以上の難聴で、常時耳漏を残すもの
14級相当 30dB以上の難聴を伴い、常時耳鳴りを残すもの30dB以上の難聴で、耳漏を残すもの

平衡機能障害

めまいなどの平衡機能障害は、他覚的所見の存在が重要です。ロンベルグテストなどの立ち直り反射検査、遮眼書字検査などの偏倚検査が必須です。

等級 認定基準
3級3号 生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、高度の失調または平衡機能障害のために終身労務に就くことができないもの
5級2号 著しい失調または平衡機能障害のために、労働能力が極めて低下し一般平均人の4分の1程度しか残されていないもの
7級4号 中程度の失調または平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の2分の1程度以下程度に明らかに低下しているもの
9級10号 一般的な労働能力は残存しているが、眩暈の自覚症状が強く、かつ、他覚的に眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められるもの
12級13号 労働には通常差し支えないが、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの
14級9号 眩暈の自覚症状はあるが、他覚的には眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないもので、単なる故意の誇張でないと医学的に推定されるもの

当事務所では、交通事故で聴力障害、耳殻の欠損、耳鳴・耳漏などの後遺障害を負われた方に対し、適正な後遺障害の等級認定を獲得できるようサポートを行っております。

耳に後遺障害を負ってしまったのではないかとお悩みになられている交通事故被害者の方は、お気軽にご相談ください。

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