コラム記事

てんかん(外傷性てんかん、外傷後てんかん)

2015.01.24 その他のお怪我頭部

てんかんとは

てんかん発作を繰り返す脳の病気の総称ですが、交通事故により頭部に外傷を負った場合、脳に発生した損傷が原因となり、てんかん発作を起こすようになってしまうケースがあります。

この症状は、外傷性てんかん、または外傷後てんかんと言い、外傷を負ってから2年以内に発症することが多いといわれています。

症状

主な症状は、けいれんや意識消失、全身の筋肉の硬直、全身の脱力などで、一過性のため数秒から数十分で回復しますが、この状態が繰り返し発生する状態がてんかんです。

外傷後のてんかん発症に関して重要な所見は3種類あります。重要な順に挙げると、以下のようになります。

① 頭部外傷後の意識障害の有無・長さ
脳損傷開放性閉鎖性
③ 外傷直後のけいれん発作有無

意識障害

読んで字のごとく意識を失っている状態です。頭部に外傷を負い、数時間以上意識が戻らなかった場合は脳自体が傷ついた可能性が考えられ、その結果、てんかんを発症する可能性があります。
脳に重大な損傷が発生した場合は、意識障害が長引きます。外傷後のてんかんの発症率は意識障害の長さに比例して増加する傾向にあります。

開放性脳損傷

頭皮や頭蓋骨に開放創や骨折が生じ、直接脳に損傷が生じているものをいいます。反対に、閉鎖性脳損傷は、頭皮や頭蓋骨に外傷はないものの、脳損傷が生じているものをいいます。
硬膜裂傷などを伴う開放性脳損傷の場合の方がてんかんの発症率が高いと言われています。

けいれん発作

外傷直後または早期のけいれん発作が認められた場合は、これがない場合に比べ、てんかん発症の可能性が高いと言われています。直後とは24時間以内、早期とは1週間以内というのが概ねの目安です。

主な検査手法

脳波検査

てんかんは脳神経細胞の異常な電気的信号によって発生します。この異常な電気信号は脳波検査で記録することができるため、てんかんの診断にあたって脳波検査は非常に重要です。

CT検査、MRI検査

脳損傷の程度状態を画像で確認するうえで非常に重要です。特に、交通事故直後の画像で明確な損傷所見が認められるか、後の画像との比較による脳損傷の有無判定にあたっても必要となります。

後遺障害等級

交通事故に遭ったことを原因として外傷性のてんかんという後遺障害が残ってしまった場合、その重篤度合いに応じて後遺障害等級認定されます。具体的には以下のとおりです。

 等級 認定基準
1~3級 1ヵ月に2回以上の発作がある場合には、通常高度の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害に係る第3級以上の認定基準により障害等級が認定される。
 5級 1ヵ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わずに転倒する発作」または「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」(以下「転倒する発作等」という)であるもの
 7級 転倒する発作等が数ヵ月に1回以上あるもの、または転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの
 9級 数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの、または服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの
 12級 発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの

上記の表のとおり、てんかんの症状が極めて重度の場合は、併せて高次脳機能障害を発症している可能性が極めて高いので注意が必要です。

また、てんかんの症状が極めて重度とまではいえない場合であっても、てんかんを発症した場合に認められる所見と、高次脳機能障害の場合に認められる所見とは重要な部分において一致します。
てんかんを発症してしまった方は、高次脳機能障害も発症していないかをしっかり検査することが重要です。

適正な後遺障害等級の認定を受けるには、症状をよく見極め、必要な検査を行い、その検査結果が適切に記載された後遺障害診断書を自賠責保険へ送付し、審査を受ける必要があります。

てんかんの見極めは難しく、また、高次脳機能障害を併発している可能性があるにもかかわらず、適切な検査がなされないままでは適正な後遺障害等級は認定されませんし、適正な賠償金を受け取ることもできません。
不適正な賠償金額で安易に相手方や保険会社と示談をしてしまうと、後にてんかんや高次脳機能障害の存在が発覚しても、事後に適正な賠償金を獲得することは不可能、または極めて困難となります。

上記のような症状が疑われる場合は、できる限り事故直後の早期の段階から、医学的知識と後遺障害等級認定に関する知識を持った専門家に相談することをお勧めします。

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