コラム記事

成年後見申立の手続【成年後見制度について】

2019.04.09 遷延性意識障害

成年後見制度とは

成年後見制度とは、知的障害、認知症、精神障害などの精神上の障害により、判断能力が十分でない方が不利益に遭わないために、その人をサポートする援助者を家庭裁判所から選任してもらい、援助者が本人のために法律面や生活面で支援および保護をする制度のことです。
預貯金の出し入れ、不動産の管理、診療・福祉・介護サービスの利用契約、遺産分割協議などを自らの判断ですることが困難な場合、援助者が財産管理や身の回りの看護における契約などを本人に代理して契約することができます(代理権)。また、自分にとって必要か否かの判断ができず、悪徳商法などにより不必要な契約を締結してしまった場合でも、援助者が契約を後から取り消すこと(取消権)が可能です。

成年後見制度の種類

成年後見制度は2種の制度により成り立ちます。

1つ目は、判断能力が衰える前に、将来に備えあらかじめ契約により後見人を決めておくことができる「任意後見制度」です。

2つ目は、判断能力が衰えた後から利用できる「法定後見制度」になります。さらに、法定後見制度は本人の判断力がどれほど不十分かにより支援・保護の内容が3段階(「後見」「保佐」「補助」)に分かれており、それぞれ支援および保護できる内容が多少異なります。

後見の対象は、通常の状態で本人の判断能力が不十分である場合です。3段階の中では最も支援と保護が必要な状況になります。通常の状態で、本人自身の判断による法律的行為ができない場合に対し、成年後見人(援助者)は本人の財産に関する全ての法律行為を本人の同意を得ることなく、代理して行うことができます。

保佐の対象は、判断能力が著しく不十分な場合になります。不動産を購入したり売却したりすること、遺産分割協議することなどの重要な判断行為が該当します。保佐人(援助者)は当事者が申し立てた重要な法律行為について同意権を有し、保佐人の同意なしで本人が自ら行った重要な法律行為に関して、後から契約を取り消すことが可能です。

補助の対象は、判断能力が不十分な場合です。3段階の中では一番支援の状況が軽度な段階であり、ほとんどのことは自らの判断ですることができるものの、難しい事柄については援助が必要な場合が該当します。補助人(援助者)は当事者が申立てた特定の法律行為について代理権と取消権を有します。

交通事故により成年後見人を選任する場合とは

成年後見制度は、認知症等で判断能力が衰えた人のためだけの制度ではありません。交通事故被害に遭った方にも利用されることがあります。
例えば、「交通事故に遭って息子の意識が戻らない」「意識はあるけれど、判断能力が低下していて、前のような生活ができなくなった」など、交通事故で頭部に重傷を負って高次脳機能障害(器質性精神障害)が残存してしまった場合、精神上の障害により判断能力がなくなってしまうことで、自ら後遺障害等級認定を申請したり、加害者に対して損害賠償を請求したりすることができなくなることがあります。
このような場合、家庭裁判所で所定の手続きを行うことで、交通事故の被害者にかわって法律行為等を行う成年後見人をつけることができます。

後遺障害等級が認定された場合には、多額の損害賠償を入手する可能性があります。そういった場合に、この賠償金を適切に管理する人が必要となりますので、後見人を選任する必要がでてきます。

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どのような人が成年後見人等に選ばれるか

保護・支援をする援助者として適任か否かは、最終的には家庭裁判所の判断により決められますが、成年後見人等になるために必要な資格は特にありません。そのため、親族が申立することも可能です。
保護・支援の内容は財産管理等が主になってくるため、法律・福祉の専門家が選ばれる場合もあります。また、複数の成年後見人等を申立することもできます。

成年後見人申立の手続きについて

本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立を行います。

成年後見制度の申立権者は以下の通りです。
・本人
・本人の配偶者
・4親等内の親族
・市町村長
・検察官

必要な書類は以下の通りです。

書類 部数・備考
申立書 用紙は家庭裁判所で無料でもらえます
申立人の戸籍謄本 1通(本人以外が申立する場合)
本人 戸籍謄本 1通
戸籍の附票 1通
登記事項証明書(※1) 1通
診断書 1通
成年後見人候補者 戸籍謄本 1通
住民票 1通
身分証明書(※2) 1通
登記事項証明書(※1) 1通
申立書付票
本人に関する報告書

(※1)登記事項証明書は、東京法務局が発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです。
(※2)身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。

法律上、以下の人は成年後見人等になることはできません。
・未成年者
・家庭裁判所に解任された法定代理人
・破産者
・被後見人に対して裁判を起こした人とその配偶者、直系親族
・行方不明者

家庭裁判所による審問・調査・鑑定(一部対象)

申立人、後見人候補者、本人から事情を伺います(審問)。場合によっては後見人候補者について本人の親族から意見を聞き(調査)、必要に応じて本人の精神鑑定が行われます。

審判

申立書に書かれている後見人候補者が適任か否か、判断されます。場合によって、家庭裁判所の判断により、候補者以外の適任者が選任されることもあります。

審判した内容の告知・通知

裁判所から審判書の謄本を受け取り、不服申立がない場合は2週間後に審判が確定します。

法定後見開始

成年後見人等としての役割が始まります。

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