コラム記事

賠償金計算における3つの基準

2014.12.31 賠償金保険

交通事故の被害に遭われた方の治療が終了した場合や、相手の保険会社が治療終了時期と判断した場合、相手の保険会社から示談金額が提示されます。   

この金額が適切か否かということでご相談に来られるケースがありますが、ほとんどの場合、保険会社が提示する損害賠償額は必ずしも適切ではありません。むしろ、裁判所の基準からみると、明らかに低い金額が提示されていることが多いといえます。

しかし、被害者の方々は「交通事故を日常的に取り扱っている大手企業である保険会社からの賠償金の提示なのだから正しいのだろう」とか、「治療期間中、保険会社の担当者がよくしてくれた」などと思い、保険会社を信用して、何も疑うことなく示談に応じてしまうことが少なくありません。   

あくまでも保険会社が示談の際に提示する示談金額は、自社の基準で提示しているだけなので、裁判所の基準に比べると、大幅に低いこともあります。交通事故の損害賠償額については、「基準」と一口に言っても、大きく分けての異なる基準が存在します。

①自賠責基準
②任意保険の基準
③裁判所の基準

この3つの基準のうち、どの基準を用いて損害賠償額を算定するかによって、賠償金額が大きく異なってきます。私たち弁護士が保険会社と示談交渉をする場合、裁判所の基準を元に交渉しますので、当初被害者の方に対して提示された保険会社の提示額よりもかなり高くなることが多いです。   

自賠責保険の基準

自賠責保険は強制加入保険であり、誰もが車を所有する際に加入しなければならない保険です。自賠責保険は国が最低限の補償を提供しているものなので、任意保険の基準や裁判所の基準と比較すると、最も低い基準になります。
後遺障害以外の部分についての支給上限額は120万円で、後遺障害が認定された場合はその等級に応じた保険金が支払われます。 

任意保険の基準

任意保険は自賠責保険と異なり、任意で加入する保険です。任意保険は、自賠責保険でカバーすることができない損害を補填することを目的とした保険なので、任意保険の基準で損害賠償額を計算すると、自賠責基準で算出した損害賠償金額よりは高額になります。しかし、任意保険の基準も、裁判所の基準で計算した賠償金額よりは低くなります。

裁判所の基準

裁判になった時に裁判所が用いている基準です。裁判所の基準を使って損害賠償額を算定すると、ほとんどの場合、自賠責基準や任意保険の基準よりも高額になります。つまり、3つの基準を比較すると、次のようになります。

 

3つの基準の比較
①自賠責基準 < ②任意保険の基準 < ③裁判所の基準

 

保険会社が提示する金額は、自賠責基準か、任意保険の基準に近いことが多いのです。

そのため、私たち弁護士が、交通事故の被害者の方からご依頼を受け、保険会社と示談交渉をする際には、最も高い基準である裁判所の基準を元に算定した賠償額を主張して交渉しますので、保険会社が当初提示してきた額よりも高くなることが多いのです。

裁判所の基準といっても、一律で計算ができない部分があります。そのような部分について、私たち弁護士は、これまでに積み重ねられてきた数多くの類似裁判例などを参考にして賠償額を算定します。裁判例のどのような部分がご自身のケースに適用されるのかは、一般の方では判断がつかないところだと思います。

似ている判例でもよく読むと実は違う裁判例をインターネットで探してきて保険会社と交渉しても、なかなか交渉になりません。 

適切な賠償金を受け取るためには、できれば事故直後の治療中から、遅くとも保険会社から示談の提示があった際には、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

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