(1)とにかく症状に見合った適切な医証を取得する必要があります。
適切な後遺障害等級の認定を受けるには,症状に見合った適切な医証を取得する必要があります。細かく言えば色々とポイントはありますが,本当に重要なポイントはこれだけです。
では,適切な医証を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
自分は,仕事も忙しいし,通院には時間もとられて大変だし,通院しても病院だと対処療法しかしてくれないだけでなく満足な治療を受けられないので,接骨院だけに行けばいい。きっとけがは治るだろうし,実際症状が重いのだから,万一怪我が治らなかった場合でも,病院へは気が向いたときに通院していれば適切な医証を取得できるだろう。自分は大丈夫だ。何とかなる。
このように思っていらっしゃる方が非常に多いです。
残念ながら,このような考え方では適切な医証を取得することなど到底できません。
例えば,弊所としては,接骨院へ通うことはお身体の回復のためにはとてもよいことと考えているのですが,自賠責保険の認めている医証は医師の作成するものであり,接骨院の先生では作成できないものとされております。そのため,接骨院だけしか通院していない期間が長い場合,万一後遺症が残ってしまってから整形外科へ通院しても,医師が後遺障害診断書を作成してくれない,作成してくれても不十分な内容になってしまったといった事態に陥ることもありますので,注意が必要です。
また,通院回数が少ないと,医師が症状を的確にとらえきれておらず,その結果,仮に後遺障害診断書を取得できても,内容が極めて不十分なものとなってしまうケースもあります。
偶然,これでも後遺障害等級の認定を受けられる方もいらっしゃるでしょうが,大半の方は,このような考え方でいたがために後日不幸に見舞われているのが現実です。このことは,私が日頃お受けしている法律相談において,症状固定前後にはじめてご相談にいらっしゃり,ご相談を伺う中で,およそ十分な医証を取得できないであろうということが極めて多く,実際その通りの結果になっている状況からのお話です。
症状に見合った適切な医証を取得するには,ご自身の症状をご自身で医学的に理解できており,交通事故患者の方のことをよく理解して診察にあたってくれる医師のもとへ通院できており,自賠責保険がどのような点を重視して医証を検討しているかということを理解している必要があります。
では,みなさんはこれらの点が十分できているでしょうか。
できていない場合は以下のような不利益が生じてしまう可能性が高いのが現状です。
医療分野に関する研鑽を積んだ弁護士として
1 適切な後遺障害等級の認定を受けるためのたった1つの重要ポイント
(1)とにかく症状に見合った適切な医証を取得する必要があります。
(2)適切な医証が取得できなかった場合の不利益 ~むち打ちの場合
(3)適切な医証が取得できなかった場合の不利益 ~高次脳機能障害の場合
(4)適切な医証を取得するには
2 医学に関する分野横断的知識の重要性
3 医師等専門家との連携の重要性