コラム記事

眼の後遺障害について

2014.12.31 顔(目・鼻・口)後遺障害

交通事故によって眼に後遺障害が残存してしまった場合、自賠責保険では以下の後遺障害等級が認定されます。自賠責保険から認定される眼の後遺障害等級は、大きく2つに分かれ、眼球と眼瞼(まぶた)に分類できます。   

眼球の後遺障害

視力障害視力の低下や失明などの後遺障害1眼の視力低下(0.6以下で13級1号)から2眼の視力低下、視力低下の程度(失明含む)によってさまざまな等級があります。
調節機能障害いわゆるピント合わせの機能で、著しく低下した場合の後遺障害です。
運動障害眼球を動かす筋肉(外眼筋)麻痺等による斜視、複視になってしまった場合の後遺障害です。
視野障害半盲症、視野狭窄、視野変状等により視界が狭くなってしまった場合の後遺障害です。

まぶたの後遺障害

欠損障害まぶたが欠けてしまった場合の後遺障害です。
運動障害視神経や外眼筋の損傷により、まぶたが角膜を完全に覆うことができなくなってしまった場合の後遺障害です。

眼球の後遺障害の認定基準

視力障害は、頭部外傷による視神経損傷や、眼球そのものの外傷に起因する視力低下で、他覚的所見が認められることが重要です。  

自賠責保険は、審査で被害者が「眼が見えない」と嘘をついていないかと疑いをかけて臨むので、これを覆すことができる証明が必要です。このため、前眼部、中間透光体、眼底部の検査で異常が認められないか検査を受ける必要があります。異常がない場合でも、自賠責保険では、網膜電図検査(ERG)の結果などが重視されているので、検査を受け、異常の存在を医学的に立証する必要があります。  

また、外傷によって視力が低下したということも立証しなければなりません。検査時期が遅れると、外傷による後遺障害であることの立証が難しくなる傾向にあります。

頭部外傷による視神経損傷は、眼科よりも脳神経外科や神経内科の領分です。このことも念頭に置いて早期に的確な通院先を選ぶ必要があるでしょう。   

検査は、何の検査受けるかということと受ける時期が重要です。そして、検査結果が記載された後遺障害診断書を準備する必要があります。  

なお、むち打ちにより視力低下が認められる場合がありますが、自律神経の異常によるものであり、時間の経過によって改善すると判断されてしまうことから、むちうちが原因の視力低下では眼の後遺障害とは認定されないので注意が必要です。   

等級認定基準
1級1号両目が失明したもの
2級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2級2号両眼の視力が0.02以下になったもの
3級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
4級1号両眼の視力が0.06以下になったもの
5級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
6級1号両眼の視力が0.1以下になったもの
8級1号1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
9級1号1眼が失明し、または一眼の視力が0.02以下になったもの
9級2号両眼の視力が0.6以下になったもの
10級1号1眼の視力が0.1以下になったもの
13級1号1眼の視力が0.6以下になったもの

調節機能障害

アコモドポリレコーダー(※)によって、年齢別の眼の調節力と比較してどの程度調節力が低下したかという観点から審査が行われます。

(※)調節緩和、調節障害の診断に使用する機械   

注意が必要なのは、自賠責保険は、実施状況によって検査結果にばらつきがある可能性が否定しきれないという認識のため、検査を1回受けただけでは不十分です。これも、検査を受けるべき時期、タイミングが重要です。   

なお、交通事故に遭われた方の症状固定時の年齢が55歳以上の場合、そもそも年齢帯の調節力が低いため、調節機能が低下した所見がとれても、後遺障害等級が認定されません。  

等級認定基準
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの
12級1号1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

運動障害

ゴールドマン視野計等の視野計によって測定された注視野によって後遺障害等級が認定されます。注視野の広さが2分の1以下に制限される状態が等級認定の対象です。これも、検査を受けるべき時期、タイミングが重要です。  

等級 認定基準
11級1号 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
12級1号 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

注視野の制限が認められない場合でも、ヘスコオルジメーター検査等により複視(物が二重に見える状態)が認められる場合は、程度より等級が認定されます。これも、検査を受けるべき時期、タイミングが重要です。

等級認定基準
10級2号正面を見た場合に複視の症状を残すもの
13級2号正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

視野障害

視覚伝導路に傷害が生じた場合、視力ではなく視野に影響が出る場合もあります。ゴールドマン視野計や、視神経障害の場合にはフリッカー検査なども有用です。これも、検査を受けるべき時期、タイミングが重要です。

等級認定基準
9級3号両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
13級2号1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

まぶたの後遺障害の認定基準

まぶたが欠けてしまい、まぶたを閉じても角膜を完全に覆うことができないと「著しい欠損」にあたり、白目の露出がある場合は「一部に欠損」にあたります。視神経や外眼筋の損傷により、まぶたを閉じても角膜を完全に覆うことができないと「著しい運動障害」にあたります。まつ毛の生えている部分の2分の1以上がはげてしまった場合は「睫毛はげを残すもの」にあたります。

等級 認定基準
欠損に関すること
9級4号 両目の瞼に著しい欠損を残すもの
11級3号 1眼の瞼に著しい欠損を残すもの
13級4号 両眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの
14級1号 1眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの
運動障害に関すること
11級2号 両眼の瞼に著しい運動障害を残すもの
12級2号 1眼の瞼に著しい運動障害を残すもの

その他の眼の後遺障害

外傷性散瞳は、その程度によって単眼で12級または14級が、両眼の場合は11級または12級が認定されます。また、涙小管断裂により常時流涙が認められる場合は14級相当が認定されます。

交通事故に遭われた被害者としては、生活への支障度合いが強い部位(骨折等)から治療を受け、部位によっては治療が後回しにされてしまう場合がありますが、異常を感じた場合は早期の受診が重要です。しかし、ご自身では判断がつかない場合も多くあります。特に、頭部外傷による視神経損傷は、眼科よりも脳神経外科や神経内科の領分です。眼科では発見できない異常がありうることも念頭に置いて早期に的確な通院先を選ぶ必要があるでしょう。 

当事務所では、眼に後遺障害が残る可能性がある場合、適正な後遺障害等級の認定を獲得するために必要な方針をご提案させていただきます。眼に後遺障害が残るかどうか分からなくても、交通事故に遭って眼に異常を感じていらっしゃる場合はお気軽にご相談ください。事故直後できるかぎり早期の段階が推奨されます。

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