上肢障害が後遺障害として認定される条件

上肢とは、肩関節から指先までの腕全体のことを指します。

 

特に後遺障害等級認定においては、「肩関節」「ひじ関節」「手関節」を上肢の3大関節として扱われています。また、手関節より先に関しては「手指」として扱われます。

上肢は食べる、書く、掴むなど日常動作になくてはならない部分です。

 

障害が残ると日常生活に大きな影響を与えてしまうので、細かく等級設定されており、支払われる賠償額が決まります。適正な等級認定されることで安心して治療やリハビリを継続することができます。

 

上肢の後遺障害は4つに分類されます。

機能障害 事故により身体の動きが制限されてしまった
変形障害  骨折した骨が治療しても元通りにならず変形したままになってしまった
欠損障害 事故により全てあるいは一部を失ってしまった
醜状障害 事故により目立つほどの傷あとが残ってしまった

 

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上肢の機能障害と認定される条件

機能障害

機能障害での後遺症障害等級は可動域制限(関節、手指があまり曲がらなくなった)の程度によって決められます。
左右で障害がない方の動きに比べて動きにくい方の可動域がどの程度制限されているのか、医師による測定により下記の障害等級が決まります。

 

上肢の機能障害等級

該当する等級 認定基準
1級4号 両上肢の用を全廃したもの
5級6号 1上肢の用を全廃したもの
6級6号 1上肢の3大関節の2関節の用を廃したもの
8級6号 1上肢の3大関節の1関節の用を廃したもの
10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

※「用を全廃したもの」とは、3大関節がこわばり曲がらない、健康な側と比較し、その10%以下に動きが制限された状態のこと。
※「用を廃したもの」とは、関節がこわばり麻痺または麻痺に近い状態。健康な側と比較し、その1/2に動きが制限された状態のこと。

 

手指の可動域測定は親指とその他の指で異なり、下記の障害等級が決められています。

 

◆手指の機能障害等級

該当する等級 認定基準
4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号 1手の5の手指、または親指を含み4の手指を廃したもの
8級4号 1手の親指を含み3の手指を廃したもの、または親指以外の4の手指を廃したもの
9級13号 1手の親指を含み2の手指を廃したもの、または親指以外の3の手指を廃したもの
10級7号 1手の親指、または親指以外の2の手指の用を廃したもの
12級10号 1手の人差指、中指または薬指の用を廃したもの
13級6号 1手の小指の用を廃したもの
14級7号 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 

※「手指の用を廃したもの」とは、手指の長さの1/2以上が失われたもの、著しい運動障害が残るもの、感覚が失われた状態のこと。

 

上肢機能障害の評価に必要な可能域測定

可動域測定では“主要運動”と”参考運動“を測定することになっており、上肢機能障害を評価するには3大関節、手指のそれぞれで測定します。

主要運動とは、各関節における日常動作のなかで重要な運動のことをいい、参考運動とは主要運動ほど重要でない運動のことをいいます。

 

上肢の左右どちらにも障害が残り比較できない場合、参考運動可動域と比較します。(参考可動域とは正常な人の平均値にあたります)

 

主要運動が複数ある関節の場合、主要運動のいずれか一方の可動域が健康な側1/2以下、または3/4以下に制限されていれば、著しい機能障害または単なる機能障害と認定することができます。
例えば肩関節の場合、主要運動が屈曲(曲げ伸ばし)と外転(身体の後ろ側に回す)の複数あるため、いずれか一方の可動域が認定基準に該当すれば、機能障害と認定される可能性があることになります。

 

機能障害評価に必要な上肢の可動域測定は関節、手指ごとに下記の表を参考にしてください。
引用元:医学書院『標準整形外科学(第12版)』付録/ 1.関節可動域表示ならびに測定法

 

肩(肩甲の動きを含む)

運動方向

参考

可動域

角度

基本軸 移動軸 測定肢位および注意点 参考図
屈曲

(前方挙上)

180 肩峰を通る

床への垂直線

(立位または

座位)

上腕骨 上腕は中間位とする。

体幹が動かないように固定する。

脊柱が前後屈しないように注意する。

伸展

(後方挙上)

50
外転

(側方挙上)

180 肩峰を通る床への垂直線

(立位または

座位)

上腕骨 体幹の側屈が起こらないように

90°以上になったら前腕を回外

することを原則とする。

内転 0
外旋 60 肘を通る前額面への垂直線 尺骨 上腕を体幹に接して、肘関節を

前方90°に屈曲した肢位で行う。

前腕は中間位とする。

内旋 80

 

ひじ

運動方向

参考

可動域

角度

基本軸 移動軸 測定肢位および注意点 参考図
屈曲 145 上腕骨 橈骨 前腕は回外位とする。
伸展 5

 

運動方向

参考

可動域

角度

基本軸 移動軸 測定肢位および注意点 参考図
回内 90 上腕骨 手指を伸展し

た手掌面

肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。
回外 90

 

親指

運動方向

参考

可動域

角度

基本軸 移動軸 測定肢位および注意点 参考図
橈側外転 60 示指

(橈骨の延長上)

母指 運動は手掌面とする。

以下の手指の運動は原則として

手指の背側に角度計をあてる。

尺側内転 0
掌側外転 90 運動は手掌面に直角な面とする。
掌側内転 0
屈曲 60 第1中手骨 第1基節骨
伸展 10
屈曲 80 第1基節骨 第1末節骨
伸展 10

 

その他の指

運動方向

参考

可動域

角度

基本軸 移動軸 測定肢位および注意点 参考図
屈曲 90 第2─5中手骨 第2─5基節骨 ※10°の過伸展をとりうる。
伸展 45
屈曲 100 第2─5基節骨 第2─5中節骨
伸展 0
屈曲※ 80 第2─5中節骨 第2─5末節骨
伸展 0
外転 第3中手骨延長線 第2・ 4・ 5 指軸 中指の運動は横側外転、

尺側外転とする。

内転

 

 

上肢の変形障害と認定される条件

変形障害

変形障害では偽関節(骨折した部位が固まらず、関節でないところが固まってしまう状態)や、変形(骨折した部位が正常な状態よりも固まってしまう状態)について、以下のように認定されます。

 

該当する等級 認定基準
7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

 

上肢の欠損障害と認定される条件

欠損障害

上肢の欠損障害とは、交通事故により上肢を全てあるいは一部を切断するなどして失った状態を指します。後遺障害の等級は、失われた部分が大きいほど高くなり、上肢の欠損障害の場合は、手指の欠損に関してより細かく決められているのが特徴です。

 

上肢の欠損障害等級

該当する等級 認定基準
1級3号 両上肢ひじ関節以上で失ったもの
2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
4級4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの

 

◆手指の欠損障害等級

該当する等級 認定基準
3級5号 両手の手指の全部を失ったもの
6級8号 1手の5の手指、または親指を含み4の手指を失ったもの
7級6号 1手の親指を含み3の手指、または親指以外の4の手指を失ったもの
8級3号 1手の親指を含み2の手指、または親指以外の3の手指を失ったもの
9級12 1手の親指、または親指以外の2の手指を失ったもの
11級8号 1手の人差指、中指または薬指を失ったもの
12級9号 1手の小指を失ったもの
13級7号 1手の親指の指骨の一部を失ったもの
14級6号 1手の親指以外の指骨の一部を失ったもの

 

※「手指を失ったもの」とは、親指は指節間関節、その他の指は近位指節間関節を失ったもの
※「手指の一部を失った」とは、指骨の一部を失っていることがレントゲン写真などにより、確認できるもの

 

上肢の醜状障害と認定される条件

醜状障害

上肢の醜状障害とは、交通事故によって、裂傷や擦過傷を負った傷あとが残った場合に認められる障害で以下のように認定されます。

 

該当する等級 認定基準
14級4号 上肢の露出面に手のひら大の醜いあとを残すもの

 

例えば、瘢痕(はんこん、いわゆるあばた)、切り傷や手術痕のような線状痕、ケロイドや欠損などが含まれますが、後遺障害として認定されるためには「露出面に人目に付く程度以上の醜状が認められる状態である」必要があります。人目に付く程度以上か否かという観点が入るため、書面審査だけでなく面接審査を行い、症状の程度、部位形態などの確認が行われます。

 

後遺障害診断書

一定期間の治療をしても事故前の状態に戻らなかった場合、医師に『後遺障害診断書』を記入してもらうことになります。
『後遺障害診断書』は医師しか記載できません。この診断書をもとに後遺障害認定を判断されるので、症状に詳しい医師に可動域測定を依頼し、記載をしてもらいましょう。たった5度の測定の差でも等級、保険金額が大きく変わってくることに注意しましょう。

 

上肢障害では手指の方が部位別に等級が細かく設定されているため、高くなる傾向があります。

上肢障害の後遺障害等級申請は非常に複雑ですので、弁護士にご相談ください。上記の内容が全てではありませんので、弁護士への相談時には症状を漏れなくお伝えいただき、該当の可能性がないかご確認ください。

 

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