【解決事例】12級が認定され、過失相殺されたものの1年分の休業損害に加え824万円の賠償金を獲得した事案

依頼者 40代 男性 会社員
後遺障害等級 12級6号
負傷部位 肘頭骨、肘関節、手指
傷病名 肘頭骨折後の肘関節の機能障害、手指の痺れ
獲得額合計 824万円+休損1年分

 

 

項目 ご相談前 獲得額 増額幅
後遺障害等級 12級
入通院慰謝料 234万円
休業損害 約453万円
逸失利益 約778万円
後遺障害慰謝料 290万円
治療費等その他 約499万円
損害小計 約2254万円
既払い額 ‐約1090万円
過失割合控除
‐約564万円
自賠責保険金 224万円
獲得額合計
(自賠責保険金+解決金)
824万円

 

 

1 ご相談内容

入院するような大怪我だったうえに、既に過失割合も争いになっていたため、知識や経験の豊富な弁護士に依頼したいということで、インターネットでお調べになり、当所へお問合せくださいました。

事故から2週間ほどで入院中の段階でしたが、「病院まで来てほしい」とのご希望だったので、入院先の病室まで出張面談に伺いました。面談後すぐにご依頼いただくこととなりました。

 

2 サポートの流れ

入院により完全に休業していて、生活費が大変とのことでしたので、まずは休業損害の支払いを求めて交渉を行いました。

休業損害を仮払いで相手方損保から4割、労災保険を申請して労災保険から8割の支払いをそれぞれ受けることで、退院するまでの当面の間、事故前と同じ生活を送れるようにしました。

 

また退院しても無理をして復帰すると、復帰以降は休業損害支払いを求めるのが難しくなるため、復帰を急がず、十分に働けるようになるまで療養に専念した方がよいとアドバイスさせていただきました。

 

ご依頼者は、どれくらいの後遺症が残ってしまいそうか、また残ってしまった場合どういった等級になるのかを気にされていました。後遺障害等級認定では、一般に肘に可動域制限※1のある場合、怪我をしていない方の肘と、怪我をした方の肘を比べた時に、怪我をした方の肘が1/2以下の角度しか曲がらない場合には「関節の機能に著しい障害を残すもの」として10級が認定されます。

 

また、怪我をした方の肘が3/4以下の角度しか曲がらない場合には「関節の機能に障害を残すもの」として12級とされます。そのため、ご依頼者には、肘の可動域を定期的に病院で角度計を使って計ってもらい、その都度、その角度の場合はどれくらいの等級になるか、ということをご説明していきました。

また、治療の各段階で行っておくべき検査のアドバイスもいたしました。

 

その後、症状固定にあたり、抜釘(ばってい)※2についてのご相談を受けました。ご依頼者は、リスクもあるため無理に手術したくないというお考えでした。抜釘することで中途半端に可動域が改善してしまい、可動域制限が残っているのに後遺障害の認定がなされない心配がある場合、無理に手術をしないという選択もあることをお伝えしました。協議の結果、抜釘手術はしないとお決めになりました。


※1…健康であれば曲げ伸ばしできるはずが、関節が硬くなり曲げ伸ばしできなくなること。または、曲げ伸ばしできる角度が制限されてしまうこと。

※2…骨折の固定に用いた金属を取り除く手術のこと。

 

3 解決内容

自賠責保険への後遺障害等級申請の結果、12級が認定されました。ご依頼者へは、治療中の段階から抜釘するかどうか等で等級は変わってくることや、お怪我の様子から見て12級が相当ではないかという事前予想をお伝えしていましたが、実際に妥当な等級が認定されましたので、この12級を前提に示談交渉を進めることにしました。

 

本件では、相手方に弁護士がついていたこともあり、最初はかなり出し渋るような示談案が送られてきました。

 

特に逸失利益は、明確な減収がなかったため争われました。本来はこちらが折れるべきところでしたが、相手方が早期解決を望んでいることを見抜き、早期解決を踏まえて満額を認めさせることができました。

 

過失割合については、当初は65:35を主張しました。相手方の弁護士は、実際に保険金を支払う相手方損保の意向に添う必要があるようです。交渉の中で、相手方の弁護士より「相手方損保が過失割合にこだわりを見せているので、過失割合については譲歩が難しい。ただ、裁判になった場合には75:25になる可能性もあるので、そこまでは譲るように相手方損保を説得するので75:25ではどうか」という提案がありました。

 

しかし、一方のご依頼者も過失割合について思い入れの強い方でしたので、こちらは85:15を主張しており、互いの譲歩が難しい状況になっていました。もし裁判に持ち込んで負けてしまった場合には、65:35になる可能性もありましたので、裁判に持ち込まない方が得策であると判断し、総額での交渉に切替え、最終的には過失割合で換算すると約80:20にあたる金額で解決することができました。

 

また、労災給付を受けた金額を相手方弁護士が計算してきましたが、計算方法が誤っており、その指摘だけで130万円の増額ができました。労災保険の給付金の計算は、費目ごとに差し引く仕組みになっており、ただ足し算や引き算をすればいいわけではありません。正しい金額算定をするには、労災保険の知識が必要です。

 

これらの争点をひとつずつ解決しながら、最終的に合計600万円まで増額させることができました。過失割合によって減額されたものの、自賠責保険金と合わせて、ご依頼者様のお手許に800万円以上をお渡しすることができました。

 

4 弁護士の所感・解決のポイント

早期に介入できたことで、収入面での生活不安を解消することができました。また、ご依頼者が当所のアドバイスを受け入れてくださったので、妥当な後遺障害等級認定を受けることもできました。

 

複数の難しい争点を抱えた案件でしたが、自賠責保険の後遺障害審査実務の知識、労災に関する裁判例や、逸失利益に関する裁判例を示していくなどして、無事に解決まで導くことができました。そして、結果重視のご依頼者でしたが、適正な金額になったことでお喜びの声をいただくことができました。知識や経験のある我々だからこそ出せた成果だと自負しております。

 

本件では、最初のお問合せで「入院中なのだが、いろいろな不安があるのでなるべく早く相談したい」とご希望されていましたので、出張面談をご提案させていただきました。長期入院中などでご来所が難しい場合、当所では病室などへ伺う出張面談を承っております。また、病院側の都合により出張面談が難しい場合には、WEB面談も実施しています。お気軽にお問合せください。

 

 

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