解決事例

相手方が自賠責保険金のみの賠償を主張していたが、訴訟上の和解で相手方主張額の約1.8倍獲得した死亡事故

2019.10.04 死亡事故    

 

             
被害者 50代会社員女性のご主人
被害内容 死亡事故
獲得額合計(自賠責保険金+解決金)
サポート前サポート後
提示なし4982万円

1ご相談内容

突然の交通事故で奥様を亡くされたご主人がご相談にいらっしゃいました。インターネットでお調べくださり、知人の方から当所の評判を耳にした上で、当所へおいでになりました。
突然大切なご家族を失い、やりきれない悲しみの中でのご面談でした。最愛の奥様が亡くなられたという重大事故であり、また加害者が不誠実な態度であるため、交渉を弁護士に依頼したいとのご希望でした。ご面談を終え、強く当所をご信頼いただけたとのことで、すぐにご依頼いただく流れとなりました。

2サポートの流れ

悲惨な死亡事故だったこともあり、刑事事件として加害者が起訴されました。加害者の刑事裁判において、加害者へ反省を促したり、事件の真実を明らかにしたり、ご遺族が直接的かつ積極的に刑事裁判に関わることのできる「被害者参加(※1)」という制度があると情報提供をいたしました。そして、被害者参加することになりましたので、まず被害者参加の代理人を務め、被害者参加人としての被告人質問と被害者論告をおこないました。

裁判の前にご遺族にヒアリングをしたところ、「加害者が反省しているか質問したい」「反省しているならお墓参りをしてほしい」「厳罰を望んでいると裁判官に伝えたい」などのご意見を伺いましたので、ご遺族全員のご要望をとりまとめ、これらを反映した質問や論告をおこないました。
被害者参加の後は、自賠責保険へ被害者請求をおこない、約2700万円の自賠責保険金を獲得しました。その後、示談交渉に臨みましたが、相手方損保は被害者の過失は大きい事件とみているから自賠責保険金以上には支払わないと主張し、強硬な態度を変えなかったため、早い段階で交渉が決裂しました。

一番大きな争点は過失割合の部分でした。相手方損保は被害者の過失割合が大きいと主張していましたが、もし訴訟をすれば、相手方損保主張のような過失割合よりは当方に有利な過失割合が認定されるであろうこと、凄惨な事故ということを考慮していわゆる赤本基準より慰謝料が増額できるだろうということと、未だ受け取っていない年金の分も逸失利益として認められるだろうということ、また、葬儀費用も赤本基準より多めに認められるだろうと踏んでいたため、訴訟に至りました。

(※1)被害者参加とは、刑事事件の被害者や遺族が、加害者の刑事裁判に出席するものです。被害者参加の場合、被害者や遺族は検察官の横の席に座ります。裁判をただ見ることしかできない傍聴と違い、被害者参加は、「参加」という言葉どおり、被告人質問での質問権や、量刑に対する意見を言う権利(論告権)や、裁判で提出された証拠の写しなどをもらう権利があるという特徴があります。

3解決内容

訴訟における主な争点は過失割合、死亡慰謝料と葬儀代でした。

まず過失割合についてですが、本件は判例タイムズ(いわゆる緑本)や、裁判例などに類似の事故が見当たらず、どういう過失割合の主張をすべきか難しい事案でした。しかし、大型トラックの運転手がアンダーミラーを見なかったことによって起きた事故であるという特徴を捉えて、大型車が発進時にアンダーミラーを確認することの重要性や、それが義務づけられていることなどを丁寧に主張・立証していきました。その結果、当方主張が20:80、相手主張が60:40であったところを、裁判所の和解で30:70まで落ち着かせることができました。判例タイムズの中では最も近い図の基本過失割合も30:70でしたから、これは妥当な過失割合といえます。

死亡慰謝料については、悲惨な事故態様および著しく傷付いた遺体の状況や、加害者側の不誠実な対応などを、被害者参加の際に入手した刑事記録も活用しながら丁寧に主張・立証しました。その結果、赤い本の死亡慰謝料の目安が2500万円であったところ、2800万円が和解で認められました。

葬儀費用についても、一般的には150万円が上限とされていますが、50代という若さで亡くなったことや、凄惨な状況で亡くなってしまったために、手厚い葬儀や墓所建設の必要があったことを丁寧に主張・立証したところ、その結果、上限を超える200万円の葬儀費用が認められました。

4弁護士の所感・解決のポイント

本件については、初回の相談から和解までほぼ3年に至る事件でした。過失割合などの参考にできるような裁判例がなかったものの、事故の特徴を捉えて丁寧に主張・立証をした結果が、妥当な過失割合の認定につながった事件だと思います。
また、死亡慰謝料に関しての主張・立証をするにあたって、被害者参加の時に被告人質問をした内容が、相手の不誠実さを表す証拠のひとつとして活用できたことも、早期に弁護士が介入する必要性やメリットを感じた事件でした。

刑事裁判は、事故後比較的すぐにおこなわれるものですから、ややもすると、弁護士に依頼する前にご本人が準備不足のまま参加してしまうことや、そもそも刑事裁判が開かれたことを知らないまま刑事裁判が終結してしまっていることがあります。
裁判中に行われた問答の内容は正式に記録として残ります。効果的な質問をすることができれば、今回のように証拠として役立てることもできますが、涙も乾かぬうちに、裁判に慣れない一般の方が、ふさわしいふるまいや効果的な言葉を独力で準備するのは簡単ではありません。弁護士は裁判のプロですから、心理的な部分だけでなく、有利に交渉を進めていくためのサポートも我々の仕事であると考えています。

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