賠償金の計算方法
保険会社の担当者は、日常的に交通事故の示談交渉をしているプロですから、「この提示額はこういう理由で妥当です」ということをきちんと説明してきます。しかし、他の項目でも述べましたとおり、当初の示談の提案金額は、①自賠責基準、または②任意保険の基準を元に作成されているため、③裁判所の基準よりも低額であることが大半です。
さらには、できるかぎり賠償金額の支払いが少なくなるよう、保険会社は、各項目の計算の部分でも加害者側に有利となるように解釈して算定した示談案を提示してくることもあります。
まずは、以下の主な賠償金の項目をご覧ください。
主な賠償金に関する項目
財産的損害 | 積極損害 |
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病院や接骨院等における入通院の治療費、治療期間中の手術費、将来の手術費など |
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近親者等による入院や通院への付添看護費 | ||
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通院に必要なガソリン代や公共交通機関の運賃、タクシー代等 | ||
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後遺障害による将来的な介護費用等(高次脳機能障害や脊髄損傷等、限定された後遺障害で認められます。) | ||
消極損害 |
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事故で休業した期間の収入(職業によって算定方法が異なります。) | |
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死亡または後遺障害によって、将来得られなくなる収入(後遺障害の内容によって算定方法が大きく異なります。) | ||
精神的損害 | 慰謝料 |
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事故によって被害者が受けた傷害に伴う精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入院・通院それぞれの期間、怪我の状態などによって、別途の計算基準があります。 |
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後遺障害または死亡による精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害の等級に応じて原則的な金額が算定されます。さらに年齢や個別の特殊事情になどによって増減されることがあります。死亡の場合は遺族自身にも慰謝料が認められます。 |
例えば、治療費がどこまで認められているのか、通院期間としてはどこまで認められているのか、休業損害は何を根拠に算定されているのか、逸失利益は何をもとに算定されているのかなど、例を挙げればきりがないのですが、なぜそのような金額になるのか、交通事故賠償の知識がないと分かりません。
そのため被害者の方としては、保険会社の担当者から流麗に各項目の説明を受けると、「そういうものなのか、ではしょうがないな」と思ってしまうことが多いところです。
しかし、通常は、示談書に急いで署名・捺印をしなければならない理由はありません。回答を保留しておき、弁護士などの専門家に相談するべきです。
「示談金額を提示した計算書類が届いたが、適正な金額なのかどうか分からなくて不安だ」「提示された賠償金額に納得がいかない」など、保険会社からの提示や説明についてご疑問やご不安、ご不満がある場合には、お一人で抱え込んでしまうのではなく、勇気を出して、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
入院時の損害賠償(①、②、③、⑤、⑦)については詳しくはこちらをご覧下さい。
後遺障害の損害賠償(⑥、⑧)について詳しくはこちらをご覧下さい。
※交通事故被害によってお亡くなりになられた場合は、死亡慰謝料、死亡逸失利益を受け取ることができます。詳しくはこちらをご覧下さい。