転倒・転落事故に遭われた方へ

日常生活において起こる事故のうち,実は,店舗や施設内の通路や床で滑ったり,段差や突起物につまずいたりしての転倒事故は意外と多いです。

雨天時のスリップ転倒事故や,ご高齢の方の転倒事故は,その典型例です。

また,高所を移動している際や,業務による作業をしている際に転落してしまい,重傷を負った結果,重い後遺障害が残ってしまうという事故も少なくありません。

単純な転倒であっても,不意に転倒するため,手,足,肘,膝,鼻や顔面を骨折したり,頭部を打ち付けたりした結果,損傷部位に重傷を負った場合には,その治療費も高額にのぼり,その間働けなくなることによる収入の減少もあいまって,経済的のみならず精神的ダメージも深刻です。
転落事故に至っては,重傷に陥りやすく,事故の内容によっては死亡してしまう危険性も高くなります。

では,もしも転倒,転落により重傷を負った場合,どのように対応すればよいのでしょうか。
まず大事なことは,責任の所在を明確にするためにも,店舗の施設管理者及び経営者に対して,または業務中の事故の場合は事業主に対してしっかりと被害報告を行い,併せて警察に対しても人身事故として届け出るべきです。
そして,次に大事なことは,これら転倒,転落事故と,負った怪我との関連性を明確にし,後日,損害賠償請求を行える下地作りのためにも,適切な通院,検査,治療を受ける必要があります。
なぜなら,これら転倒,転落事故において,もっとも問題となるのが,店舗経営者や事業主に法律上の過失責任があるのか,仮にあったとして,責任を負う割合はどの程度になるか,ということだからです。
そして,その次に問題となるのが,その怪我と残ってしまった後遺障害とが,法的,医学的にみて関連性がある(法的には,相当因果関係といいます)といえるのか,ということだからです。

近年における転倒,転落事故で裁判になったものとしては以下のような事件があります。

転倒事故としては,70代の女性がスーパーマーケットで転倒して複数個所を骨折した事故について,店舗側が自らの責任を全面的に否定したため裁判になり,裁判所が店舗側の責任を認め,賠償金の支払いを命じたという裁判がありました(岡山地裁平成25年3月14日判決)。
この裁判では,「アイスクリームの色が床面と馴染み,わかりにくかった」「他の客がアイスの食べ歩きをし,その一部が落ちていたことで,滑りやすくなっていた」などいくつかの争点がありましたが,判決の決め手となったのは「事故当日にアイスクリームの特売が行われており,店舗側にはそれに伴う安全確保義務があった」という点でした。
なお,この判決では,被害者側にも落ち度があったとして,賠償額が20%減額されております。

転落事故としては,歩道から足を踏み外して側溝に転落した際,顔面を強打して副鼻腔損傷を負い,血液吸引による窒息により死亡してしまったという事故が発生しました。事故の起こった側溝は,コンビニのわきにあったのですが,水路の一部として市の管理におかれておりました。裁判所は,側溝に蓋がなく,市としてはフェンスなどの防護柵を設置すべきであったにもかかわらずこれもなく,設置管理に不備があるとして,市の責任を認めました(富山地方裁判所平成26年9月24日判決)。
ただ,裁判所は,通常の歩行者であれば転落の回避は可能であり,また,被害者が酩酊し,注意力,判断力を欠いていたということを指摘し,被害者側にも落ち度があったとして,賠償額を80%減額しました。
なお,コンビニに対しては,側溝はあくまで市の管理施設ということで責任を認めませんでした。

このように,転倒・転落による事故では,現場の状況や事故の状況によって損害賠償額が減額されやすい事故であり,また,責任の所在を明確にし,きちんと責任追及をすることにも法律的な分析,検討が不可欠です。
そのため,解決にあたっては法律の専門家の存在が不可欠です。
弊所においてお力になれることがあれば幸いです。転倒,転落事故に遭われた方,その遺族の方におかれましては,お気軽にご相談ください。

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