相談実績2017年2月

2017年2月

1.相手損保の対応等に対するご相談

〇 ご相談内容
右折待ちの停止中に相手車に追突された。過失割合100:0を前提に,相手損保と損害賠償額の話が進んでいる。しかし,相手損保から,接骨院の治療費支払いは認められない,自費で通ってくれと言われて困っている。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,柔道整復師による施術(接骨・整骨)や鍼灸も,症状により有効かつ相当な場合,とりわけ,通院先医師の指示がある場合には,施術費の請求権が認められることも多々あることをご説明しました。その上で,通院先の医師は何と言っているかお尋ねしたところ,接骨院等に通院してもよい旨の言っているとのことでした。
⇒医師のそのような指示ないし許可があるならば,請求権が認められることも多いため,医師に接骨院等への通院の指示ないし許可した旨を診断書等に記載してもらうようアドバイスしました。
⇒このような客観的な記録が残っていれば,相手損保としても,最終的には施術費の支払いに応ぜざるを得なくなることが多いからです。


2.交通事故と歯牙異常の因果関係が争われている事案のご相談

〇 ご相談内容
タクシーに客として乗車中,側面から乗用車が衝突し,救急外来に搬送され,頸椎捻挫等と診断された。
病院からの帰宅後,夜に前歯がグラついていることに気づき,後日歯医者に通院してみると,歯が脱臼しており,歯の補綴が必要との診断を受けた。
しかし,相手損保からは,交通事故と歯の脱臼との因果関係を否定するような主張をされて困っている。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
歯科のものでなくともいいので,歯のグラつき等が記載されている事故当日のカルテや診断書等を探し出すようにアドバイスしました。
⇒そのようなものはないとの被害者様のお答えでした。しかし,事故当日,歯がグラついている旨のメール等を送信していることが判明しましたので,そのメール等を保存し,これを根拠に相手損保へ交通事故と歯の脱臼との因果関係を主張するように,アドバイス致しました。
★歯の後遺障害等級については,インプラント又はブリッジ等を,3歯以上に加えたものは14級,5歯以上に加えたものは13級,7歯以上に加えたものは12級,10歯以上に加えたものは11級,14歯以上に加えたものは10級とされています。しかし,事故当日には歯の異常に気付かず,数日後に気づく被害者様も多くいらっしゃいます。相手損保ないし裁判所から,交通事故と歯牙異常の因果関係を否定されないためにも,歯の異常・違和感を覚えたら,直ぐにでも,歯科に行き,診断書にその旨記載してもらうことが重要です。


3.症状固定・後遺障害等級認定後の相手損保提示額に対するご相談

〇 ご相談内容
当方がバイクで直進中,自動車の相手車が前方不注意のまま右折したため,衝突。
背中を強打し,1年ほど通院していたが,両上腕部にしびれが残った。そこで,医師に後遺障害診断書を記載してもらい,自賠責に後遺障害等級申請をしたところ,14級9号「局部に神経症状を残すもの」として等級認定された。
これを前提に,相手損保から示談金額が提示されているが,この金額は妥当か?
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,後遺障害診断書の傷病名を見ると,「中心性頸髄損傷」との記載が見られました。
中心性頸髄損傷などの中心性脊髄損傷は,12級以上の後遺障害等級(12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」のほか,麻痺が顕著な場合は9級以上)に該当する可能性がありました。しかし,14級9号とは異なり,12級13号は,自覚症状主体の所見だけでは認定されないのが自賠責実務です。
そこで,後遺障害診断書を作成してもらった医師に,①中心性頸髄(脊髄)損傷の存在を明確に示す画像所見(輝度変化等)が認められるかどうか聴き取ってくること,②画像所見が認められる場合には後遺障害診断書を新たに作成するか又は既存の後遺障害診断書を修正してもらえるかどうか相談してくることをアドバイスしました。
①・②がクリアできれば,後遺障害等級の審査結果について損害保険料率算出機構に異議申立てをした場合,中心性頸髄損傷の画像所見が評価され,後遺障害等級が12級13号に修正される可能性があり得るからです。


4.事故から数か月後にヘルニアと診断された事案に対するご相談

〇 ご相談内容
オートバイで信号待ち停車中,自動車から追突された。体が宙に浮いて道路に叩き付けられるくらいの大きい衝撃であり,頸椎捻挫・腰椎捻挫・背部挫傷と診断された。
事故から数か月経っても背中・腰の痛みやしびれがなかなか取れなかったが,事故から5か月ほど経ったある日,急に腰にひどい痛みが走り,腰部のヘルニアと診断され,切除のため数日間入院した。 しかし,相手損保は,本件事故とヘルニアとの因果関係を認めず,手術費用や手術後の休業損害を支払わない。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
ヘルニアについては,加齢性のものか,それとも外傷性のものかが後遺障害等級認定及び入通院治療費の支払いの可否を決める重要な要素になります。
主に加齢性のヘルニアと診断された場合又は交通事故被害の前に加齢性ヘルニアと診断されている場合には,相手損保も交通事故とヘルニアとの相当因果関係を争ってくることが多く,入通院治療費や休業損害の支払いを拒否することが多いです。
そこで,まず,本件の被害者様が外傷性ヘルニアと診断されているのかどうか,画像所見も含めて主治医と相談してくるようにアドバイスいたしました。
また,本件は,公務災害でもあったため,次善の策として,ヘルニアの治療費やヘルニア手術後の休業期間について公務災害申請をするようにアドバイスいたしました。公務災害による休業は,労働災害と同様に,法律上の補償として,(平均給与の60%/日)×(休業期間)が支給されます(国家公務員災害補償法12条,地方公務員災害補償法28条,労働者災害補償保険法14条1項)。
さらに,福祉事業の休業援護金として,(平均給与の20%/日)×(休業期間)が補償されます。なお,この休業援護金は,損害賠償算定の際に,損益相殺されないものとして運用されています。


5.損保対応及び休業補償に対するご相談

〇 ご相談内容
当方が勤務地から徒歩で帰宅中,右折してきた自動車にはねられた。左ひじ及び左手首を骨折し,頸椎捻挫,腰部捻挫,肩部痛が生じている。
まだ事故から3か月も経っていないが,相手損保から症状固定を急かされ,さらに,骨折の治りも芳しくないため,職場復帰も上手くいっていない。
事故の受傷によるストレス,加害者や相手損保対応のストレス,休業損害が受けられないことの不安などが大きい。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,休業損害について,相手損保が支払いを打ち切ってきた場合には,労災による休業補償申請をすることをアドバイスしました。
労災による休業補償は,損害保険による休業損害賠償と異なり,
①休業補償給付=(平均給与の60%/日)×(休業期間‐3日)+②休業補償特別給付金=(平均給与の20%/日)×(休業期間‐3日)になってしまいますが,休業によって給与が減ってしまう不安を少しでも和らげるために,制度を利用することをお勧めしています。
また,相手損保対応については,弁護士が迅速に介入し,交渉窓口を引き受けることによって,相談者様の相手損保対応が無くなるメリットをご説明いたしました。
これらのアドバイスを相談者様にさせていただくと,「少しは不安やストレスが和らいだ」とおっしゃってくださり,早速,弊所にご依頼してくださりました。
★このように,全てのストレスや不安を取り除き又は引き受けることができないまでも,弊所では,我々でできる限りの支援・アドバイスを行い,相談者様・依頼者様が治療に専念できる環境作りに努めております。


6. 休業損害及び後遺障害逸失利益に関するご相談

〇 ご相談内容
当方がバイクで直進中,前方にいた自動車がウィンカーを出さずに,急に左折を開始したため,避けきれずに側面に衝突。全身打撲と頸椎捻挫を負ったところ,受傷から半年近く経っても,頭痛・手指のしびれ・めまい・耳鳴り等が治まらない。後遺障害等級申請も検討しており,かつ,相手損保に休業損害の請求をしている。しかし,事故日時点で自営業を開始したばかりであり,事故日前年の収入はほぼ0であった。相手損保からも,休業損害は,事故日から前年の収入を基準に算定するので,現時点の収入を前提に支払うことはできないと言われて,困っている。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
ご相談者様のお話によると,奥様は働きに出ており,旦那様は,開業開始前後も家事を担当し,奥様を支えているとのことでした。

本件は,主夫の休業損害の問題の一種に位置づけられると考えられます。裁判例を見てみると,
①フルタイムで仕事をする妻と同居していた66歳の男性無職者につき,日常的に家事労働に従事していたとして,賃金センサス女性学歴計65歳以上平均を基礎に,637日間家事労働が全くできなかったとして,その間の休業損害469万円余を認めたものがあります(名古屋地判平20.5.21自保ジャーナル1741号2頁)。
②妻が正社員として働き,専業主夫として洗濯・掃除・料理等の家事労働を行っていた52歳男性につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,入院46日間は100%,通院340日間は25%を乗じて,休業損害380万円余を認めたものがあります(横浜地判平24.7.30交民集45巻4号922頁)。
上記のような裁判例の立場から見ると,男性であっても,家事労働に従事している期間については,女性の賃金センサスを基礎に休業損害が認められる可能性があるものと考えられます。以上のような考えを,相談者様にご説明差し上げました。
※なお,後遺障害逸失利益の基礎収入も,原則として事故前の現実収入です。しかし,例外的に,将来現実収入額以上の収入を得られる立証があれば,その金額が基礎収入となります。本件に即して言えば,相談者様が現在行っている自営業の現実収入を立証すれば,上記の例外的な場合に当たるといえると考えられます。


7. 過失割合に争いがある場合の休業補償に関するご相談

〇 ご相談内容
当方がバイクで直進中,約5m前方に自転車が走行していた。その自転車は,交差点の真ん中付近で急に右折を開始したため,当方が接触を回避するために急ハンドルを切り,転倒。肩・頭・胸等を強打した。相手損保からは,当方:相手方=8:2と言われており,全く納得ができない。肩の治りが悪く,なかなか仕事に復帰できないにも関わらず,相手損保は,上記過失割合を前提として休業損害の2割しか支払わないため,生活が苦しくなる一方である。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
本件事故の状況をお聞きしたところ,勤務先から帰宅中の事故ということであったので,通勤災害申請をアドバイス致しました。

相談者様は,自営の請負業の形で働いていたため,労災が適用できないのではないかとご心配なさっていました。
確かに,労災保険は一般に労働者を対象としたものであり,事業主・自営業者・家族従事者などの労働者に該当しない人たちは,労災保険法上の「特別加入制度」に加入していない限り,労災保険の対象とならないのが原則です。
しかし,事故に遭われた際の具体的な契約内容・就労実態等に照らして労働者性が認められ,通常の労災保険が適用される場合もあり得ます。
これらのことをご説明した上で,労災保険の適用可能性もありうるので,通勤災害申請をすることをお勧め致しました。


8. 自損事故の休業損害及び後遺障害逸失利益に関するご相談

〇 ご相談内容
当方が自動車を運転中,道路上の放置物を回避するため,急ハンドルを切った。幸い,他の車や者にぶつからなかったが,急ハンドルを切ったために,肩の腱板を断裂する怪我を負った。自分の加入している保険会社からは,人身傷害保険が適用されると言われており,治療費が支払われている。また,当方は自営業であって,事故前年が赤字ではあったが,それ以降は黒字になっており,事故前年を基礎にした休業損害の提示額に納得がいかない。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,本件は自損事故であり,加害者がいる場合の損害賠償論がそのまま通用する場合でないこと,どういった条件でどのくらい怪我に対する補償がなされるかは加入保険会社の人身傷害保険の約款の規定に基づくことをご説明差し上げました。
その上で,相談者様ご加入保険会社の約款を見せて頂くと,自営業者の休業損害の計算方法は,
①{(事故前1か年の税務資料上の収入額)-税務資料上の必要経費}/365日}×(対象休業日数)
②ただし,(①の収入日額)<約5000円の場合には,約5000円と規定されていました(金額は,ある程度秘匿にさせていただいております。)。
また,後遺障害逸失利益の計算方法については,
③(事故前1か年の現実収入額)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
又は
④(年齢別平均給与額の年相当額)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
のどちらか高い額と規定されておりました。
以上のような約款の規定を拝見して,休業損害の提示額については約款上やむを得ない面があるものの(①②),後遺障害逸失利益については事故前1か年の収入を前提にしなくてもよい(③④)とご説明差し上げました。


9. 後遺障害等級12級6号に該当した被害者様の相手損保提示金額に対するご相談

〇 ご相談内容
当方が自動車で停車中,トラックに追突された。
頸椎捻挫・腰椎捻挫のほか,手首にある舟状骨を骨折し,1年半ほど通院した。しかし,右手に拘縮が残存し,「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として後遺障害等級12級6号が認定された。これを前提として,相手損保から示談金額の提示を受けたが,後遺障害逸失利益における労働能力喪失率を数%としているなど全く納得がいかない。相手損保の提示金額は妥当か?
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,相手損保の提示書を見せて頂くと,後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料の算定に疑問がつきました。後遺障害逸失利益は,
①(事故前年の年収)×②(労働能力喪失率)×③(労働能力喪失期間)‐④(中間利息)
で算定されますが,②は,後遺障害等級における労働能力喪失率が実質的に参考にされます。12級の場合,喪失率は14%とされており,相手損保提示の喪失率は,低すぎるものと思われました。
また,後遺障害慰謝料も,いわゆる「赤い本」で目安の基準が定められており,実務上は,この基準を事案に応じて増減させるのが通常です。後遺障害等級12級の場合,後遺障害慰謝料基準は290万円ですが,相手損保の提示額はこの半分以下であり,やはり低すぎるものと思われました。
以上のような実務上の基準と,相手損保提示額から一定以上の増額見込みとの見通しを丁寧にご説明差し上げた上,受任させていただきました。


10. 後遺障害等級認定結果に対する異議申立てに関するご相談

〇 ご相談内容
当方が車で細い路地を進行中,交差点で右折車が早曲がりをしてきた。衝突を回避するために急ハンドルを切ったが,回避できずに衝突。肩部のMRIを撮影したところ,肩鎖関節脱臼が判明し,手術に至った。事故から1年ほど経って症状固定の診断を受けたが,肩が水平より上に上がらず,かつ,手の中指及び人差し指が伸展しづらい後遺症が残った。これについて,後遺障害等級認定のいわゆる事前認定を行ったが,14級9号「局部に神経症状を残すもの」にしか該当しないという審査結果であった。自分としては,以前行っている仕事もできなくなったのに,一番低い等級であることは納得できず,異議申立て中である。異議申立てを認めてもらうためにも,弁護士の助言が欲しい。
以上のようなご相談をお受けしました。
〇 弁護士からのアドバイス
まず,後遺障害診断書を拝見すると,以下のような問題が発見されました。
①肩部のMRIを撮影していたにも関わらず,他覚症状欄に画像所見が記入されていない。
②肩関節運動の欄について,屈曲・伸展・外旋・内旋はあるものの,主要運動である外転・内転の記載がない。
③手指の関節運動について記載が全くない。
 ①について説明すると,12級以上の等級を獲得するためには,他覚症状,とりわけ画像所見が重要です。相談者様の場合,MRI画像で肩鎖関節脱臼の所見が診断されているとのお話しでしたので,これを後遺障害診断書に記載してもらうことは必須と考えられます。
②については,まず,肩鎖関節脱臼によって,関節機能障害が残存している場合,12級6号「上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当する可能性がありました。具体的には,健康な関節側に比べて,患部側の可動域が3/4に制限されている場合には,12級6号が認定され得ます。この参考運動とされるものの主要運動が,屈曲・外転・内転であり,主治医に角度計で測ってもらうことが通常です。しかし,本後遺障害診断書には,外転・内転の記載がありませんでした。このため,主治医に測り直してもらう必要がありました。
③についていえば,手指の機能障害として,12級9号「1手の親指または親指以外の2の手指の用を廃したもの」,12級10号「1手の人差し指,中指または薬指の用を廃したもの」に該当する可能性が考えられました。この「用を廃したもの」(用廃)とは,指の関節のいずれかが正常可動域の1/2に制限されたものをいいます。これも,指関節の屈曲・伸展が主要参考運動ですが,本後遺障害診断書にこれらの記載がなく,主治医に測ることを依頼する必要がありました。
以上のような問題点をご説明差し上げ,上記①~③の問題が解消された後遺障害診断書を作成してもらえれば,後遺障害等級12級以上が認定される可能性が十分あるとの見通しをご説明致しました。
これらにご納得の上,ご相談者様から弊所へご依頼頂くことになりました。


 

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