コラム記事

カルテ開示とは

2015.08.09 その他のお怪我専門家

カルテ開示とは

交通事故の被害に遭い、受傷内容や治療経過を詳しく立証するため、カルテを自賠責保険や裁判所へ証拠として提出したいという場合、通院先へカルテのコピーを出していただくように申請する必要があります。

自賠責保険における後遺障害等級の審査や、裁判において、カルテ、特に医師の作成するカルテ(診療録)は重要な証拠とされています。そのため、交通事故の被害に遭い、受傷内容や治療経過を詳しく立証するために必要となるカルテの開示は重要な手続といえます。

ところが、カルテの開示に抵抗感を覚える医師や病院が少なくありません。特に、個人経営のクリニックにおいてはこの傾向が顕著です。自身の行ってきた治療の内容を見られること自体に嫌悪感を覚える医師もいますが、後にクレームになったり、損害賠償請求をされたりするのではないかと疑心暗鬼にとらわれている医師もいるようです。

カルテ開示については、厚生労働省もガイドラインを作成しており、交通事故の治療で通院していた患者さんとしては、病院に対しカルテ開示を請求する行政上の根拠を持っています。厚生労働省のガイドラインは、患者さんとその家族の人間関係が悪化するような場合や患者さんの病状を悪化させかねない場合など、カルテ開示を拒むことができる例外的ケースも定めていますが、そのような事情がなければ、医師や病院は原則としてカルテを開示しなければならないと定めています。このことは、交通事故の治療で通院していた交通事故被害者の方の場合にも当てはまります。

厚生労働省のガイドラインにおけるカルテ開示に関する該当部分を抜粋すると以下のとおりです。


診療記録の開示

診療記録の開示に関する原則

○ 医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない。

○ 診療記録の開示の際、患者等が補足的な説明を求めたときは、医療従事者等は、できる限り速やかにこれに応じなければならない。この場合にあっては、担当の医師等が説明を行うことが望ましい。

診療記録の開示を求め得る者

○ 診療記録の開示を求め得る者は、原則として患者本人とするが、次に掲げる場合には、患者本人以外の者が患者に代わって開示を求めることができるものとする。

(1) 患者に法定代理人がいる場合には、法定代理人。ただし、満15歳以上の未成年者については、疾病の内容によっては患者本人のみの請求を認めることができる。

(2) 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人

(3) 患者本人から代理権を与えられた親族及びこれに準ずる者

(4) 患者が成人で判断能力に疑義がある場合は、現実に患者の世話をしている親族及びこれに準ずる者

診療記録の開示に関する手続(以下省略)

診療情報の提供を拒み得る場合

○ 医療従事者等は、診療情報の提供が次に掲げる事由に該当する場合には、診療情報の提供の全部又は一部を提供しないことができる。

(1) 診療情報の提供が、第三者の利益を害するおそれがあるとき

(2) 診療情報の提供が、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるとき

<(1)に該当することが想定され得る事例>

・患者の状況等について、家族や患者の関係者が医療従事者に情報提供を行っている場合に、これらの者の同意を得ずに患者自身に当該情報を提供することにより、患者と家族や患者の関係者との人間関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合

<(2)に該当することが想定され得る事例>

・症状や予後、治療経過等について患者に対して十分な説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合

※個々の事例への適用については個別具体的に慎重に判断することが必要である。

○ 医療従事者等は、診療記録の開示の申立ての全部又は一部を拒む場合には、原則として、申立人に対して文書によりその理由を示さなければならない。また、苦情処理の体制についても併せて説明しなければならない。


以上のとおり、ガイドライン上、カルテ開示は、よほどの事情がなければ拒めないようになっています。

しかし、患者さんご本人がカルテ開示を要望しても取り合ってくれない医師や病院も多々ありますし、医師や病院へカルテ開示を要望することに心理的抵抗を覚えるという方も多いことと思います。

カルテ開示でお困りの交通事故被害者の方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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