眼の後遺障害について

通事故によって眼に後遺障害が残存してしまった場合、自賠責保険では以下のような後遺障害等級が認定されます。

自賠責保険から認定される眼の後遺障害等級は、眼球と眼瞼(まぶた)とで大きく2つに分類できます。

眼球の後遺障害

視力障害 視力の低下や失明などの後遺障害1眼の視力低下(0.6以下で13級1号)から2眼の視力低下、視力低下の程度(失明含む)によって様々な等級があります。
調節機能障害 いわゆるピント合わせの機能です。これが著しく低下した場合の後遺障害です。
運動障害 眼球を動かす筋肉(外眼筋)麻痺等による斜視、複視になってしまった場合の後遺障害です。
視野障害 半盲症、視野狭窄、視野変状等により視界が狭くなってしまった場合の後遺障害です。

 

まぶたの後遺障害

欠損障害 まぶたが欠けてしまった場合の後遺障害です。
運動障害 視神経や外眼筋の損傷により、まぶたが角膜を完全に覆うことができなくなってしまった場合の後遺障害です。

 

以下、詳しく説明します。

眼球の後遺障害の認定基準

1)視力障害

視力障害については、頭部外傷による視神経損傷または眼球そのものの外傷に起因する視力低下で、他覚的所見が認められることが重要です。

自賠責保険は、被害者の方が、眼が見えないという嘘をついていないか、というあらぬ疑いをかけて審査に臨むので、これを覆すことができる証明が必要です。前眼部、中間透光体、眼底部の検査で異常が認められないかという検査を受ける必要があります。これらに異常がなくとも、例えば、自賠責保険では、網膜電図検査(ERG)の結果などが重視されておりますので、この検査を受け、異常の存在を医学的に立証する必要があります。

また、外傷によって視力が低下したということも立証しなければなりません。検査時期が遅れると、外傷による後遺障害であることの立証が難しくなる傾向にあります。また、頭部外傷による視神経損傷は、眼科よりも脳神経外科や神経内科の領分です。このことも念頭に置いて早期に的確な通院先を選ぶ必要があるでしょう。

このように、受けるべき検査とその時期が重要です。そして、検査結果とともに、その検査結果が記載された後遺障害診断書を準備する必要があります。

なお、むち打ちにより視力低下が認められる場合がありますが、自律神経の異常によるものであり、時間の経過によって改善すると判断されてしまうことから、むちうちの視力低下では眼の後遺障害とは認定されませんので注意が必要です。

等級 認定基準
1級1号 両目が失明したもの
2級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2級2号 両眼の視力が002以下になったもの
3級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
4級1号 両眼の視力が0.06以下になったもの
5級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
6級1号 両眼の視力が0.1以下になったもの
8級1号 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
9級1号 1眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
9級2号 両眼の視力が0.6以下になったもの
10級1号 1眼の視力が0.1以下になったもの
13級1号 1眼の視力が0.6以下になったもの

 

調節機能障害

アコモドポリレコーダーによって、年齢別の眼の調節力と比較してどの程度調節力が低下したかという観点から審査が行われます。

注意が必要なのは、自賠責保険は、実施状況によって検査結果にばらつきがある可能性が否定しきれないとみているため、検査を1回受けただけでは不十分です。これも、検査を受けるべき時期、タイミング等が重要です。

なお、交通事故に遭われた方の症状固定時のご年齢が55歳以上の場合、そもそもその年齢帯の調節力が低いため、調節機能が低下した所見がとれたとしても、残念ながら後遺障害等級が認定されません。

等級 認定基準
11級1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの
12級1号 1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

 

運動障害

ゴールドマン視野計等の視野計によって測定された注視野によって後遺障害等級が認定されます。注視野の広さが2分の1以下に制限される状態が等級認定の対象です。これも、検査を受けるべき時期、タイミング等が重要です。

等級 認定基準
11級1号 両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
12級1号 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

 

そして、注視野の制限が認められない場合でも、ヘスコオルジメーター検査等により複視(物が二重に見える状態)が認められる場合は、その程度によっては、等級が認定されます。これも、検査を受けるべき時期、タイミング等が重要です。

等級 認定基準
10級2号 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
13級2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

 

視野障害

視覚伝導路に傷害が生じた場合、視力ではなく視野に影響が出る場合もあります。

ゴールドマン視野計や、視神経障害の場合にはフリッカー検査なども有用です。これも、検査を受けるべき時期、タイミング等が重要です。

等級 認定基準
9級3号 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
13級2号 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

 

まぶたの後遺障害の認定基準

まぶたが欠けてしまい、まぶたを閉じても角膜を完全に覆うことができないと「著しい欠損」にあたり、白目の露出がある場合は「一部に欠損」にあたります。

視神経や外眼筋の損傷により、まぶたを閉じても角膜を完全に覆うことができないと「著しい運動障害」にあたります。

まつ毛の生えている部分の2分の1以上がはげてしまった場合は「睫毛はげを残すもの」にあたります。

等級 認定基準
欠損に関すること
9級4号 両目の瞼に著しい欠損を残すもの
11級3号 1眼の瞼に著しい欠損を残すもの
13級4号 両眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの
14級1号 1眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの
運動障害に関すること
11級2号 両眼の瞼に著しい運動障害を残すもの
12級2号 1眼の瞼に著しい運動障害を残すもの

 

その他の眼の後遺障害

外傷性散瞳は、その程度によって、単眼で12級または14級が、両眼の場合は11級または12級が認定されます。

また、涙小管断裂により常時流涙が認められる場合は14級相当が認定されます。

交通事故に遭われた被害者の方としては、生活への支障度合いが強い部位(骨折等)から治療を受け、部位によっては治療が後回しにされてしまう場合がありますが、異常を感じた場合は早期の受診が重要です。しかし、ご自身では判断がつかない場合も多々あります。特に、頭部外傷による視神経損傷は、眼科よりも脳神経外科や神経内科の領分です。眼科では発見できない異常がありうることも念頭に置いて早期に的確な通院先を選ぶ必要があるでしょう。

当事務所では、眼に後遺障害が残る可能性がある場合、適正な後遺障害等級の認定を獲得するために必要な方針をご提案させていただきます。眼に後遺障害が残るかどうか分からない場合であっても、交通事故に遭って眼に異常を感じておられる方はお気軽にご相談下さい。ご相談のタイミングとしては、事故直後できるかぎり早期の段階が推奨されます。

 

 
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