物損事故の損害賠償

 

交通事故に遭い、所有物(運転していた車両のほか、携行品や車載品等)が破損してしまった場合、破損した所有物の経済的な価値に応じた損害賠償請求をすることができます。

ただし、損害賠償請求が可能な金額は、原則として以下の限度となります。どんなに愛着がある物が壊れても、通常、慰謝料は請求できませんし、その間の対応に色々と不便をかけられ、各種手続のために会社を休まなくてはならなくなった、相手の対応が不誠実であったため車両の修理や買い替えに時間がかかり、代車費用が高くついた、というような場合であっても、原則として休業損害や不便を感じたことによる慰謝料、高くついた部分の代車費用等は請求できない点に注意が必要です。

また、人身事故と異なり、自賠責保険からは保険金が支払われません。さらに、交通事故の日から3年で時効となり、損害賠償請求ができなくなることにも注意が必要です。

車両の損害について

まず、車両の破損の度合いや修理にかかる費用に応じて、損害賠償請求ができる金額は以下のとおり分類されます。

ケース 内容
修理費が、車の時価額及び買い替え諸費用の合計額を上回る場合 この場合は、修理代金が損害賠償の対象になります。車の時価額は、中古車市場における同種・同年式・同程度の走行距離・同程度の状態の車両の金額により判断されます。裁判や交渉の実務では、初年度登録から10年までの車については、いわゆるレッドブック(オートガイド自動車価格月報)が、最も参考にされる資料です。初年度登録から10年以上経過した車については、中古車市場の価格調査を丹念に行い、できる限り多数の価格サンプルを集める必要があります。現に代車を利用し、費用が掛かった場合は、修理までにかかる一般的な期間の範囲内(概ね1~2週間程度)での代車使用料も請求することが可能です。
修理費が、車の時価額及び買い替え諸費用の合計額を下回る場合 この場合は、経済的全損と判断され、車の時価額と事故車の下取り価格との差額(買い替え差額)に、買い替え諸費用を合計した額が請求できます。請求可能な買替諸費用の内訳は、以下のとおりです。廃車の法定手数料とディーラー報酬のうち相当額自動車重量税の未経過部分(ただし還付を受けた場合は請求できません。)自動車取得税(ただし事故車と同等車)消費税(ただし事故車と同等車)自動車登録の法定手数料とディーラー報酬のうち相当額

車庫証明の法定手数料とディーラー報酬のうち相当額

納車手数料のうち相当額

※自動車税と自賠責保険料は原則として請求対象とならないので、還付を受ける必要があります。

 

現に代車を利用し、費用が掛かった場合は、買い替えまでにかかる一般的な期間の範囲内(概ね長くて1か月程度)での代車使用料も請求することが可能です。

物理的に修理不能な場合や本質的構造部分に重大な損傷を受けて買い替えが必要な場合 この場合は、物理的全損と判断され、上記②と同様となります。

 

評価損について

修理しても外観や機能に欠損を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合、「評価損」として、いくらか損害賠償を請求できる場合があります。

評価損が、どういった場合にいくら請求できるかは、損壊した車両によりまちまちですが、これまでの経験や裁判例を踏まえて考えますと、概ね購入から2~3年以内の人気車種(主に外車)について、走行距離等車両の使用状態に応じ、修理費の30%程度の金額が上限で認められているという印象です。

レッカー代、車両保管費用、見積もり費用、廃車等処分費用について

これらは、実際にかかった費用のうち相当額を請求できます。ただし、以下の点に注意が必要です。

保管費用は、廃車にするか否かを判断するのに必要な期間が限度であり、認められても数日以内というイメージで、早急に廃車とするか修理とするかを判断する必要があります。

見積もり費用は、これを請求できるか否かはケースバイケースです。

レッカー代や廃車費用は、一般的な相場であれば、相手方保管会社からあまり争われることは少ないです。

休車損について

営業車(緑ナンバー等)が交通事故にあった場合には、買い替えや修理にかかる一般的な期間中の休車による損害(事故車両を事業に使えないことで失う利益)を請求できることがあります。ただし、遊休車を所持しており、これを代わりに利用することで事業損失の発生が防げる場合は、休車損を請求することが難しくなる傾向にありますので、遊休車を所持しておられる場合は、遊休車も利用して事業に損失を出さないよう努めておくほうが安全でしょう。

携行品や車載品等について

これらの物品損害も、車両の損害を請求する場合とおおむね同様です。

つまり、同種・同等・同程度の物品の中古市場における時価額か、時計などで修理費の方が安い場合はその修理費を請求できます。保険会社との交渉では、同種品の新品の市場価格について、購入時期から減価償却した金額を参考額として交渉されることが多いです。

なお、交渉にあたっては、物品の購入時期とその額や実際に破損した所有物品の状況等を立証していく必要がありますので、物品の写真画像や購入した時期と額が分かる資料(領収証等)を集めていく必要がある点に注意が必要です。証拠が多ければ多いほど交渉は有利になります。

その他の注意点

当初は物損事故だと思っていた場合であっても、交通事故から数日経過したのち、交通事故が原因だと思われる変調(特に多いのは、首や腰の痛み、手の痺れ、頭痛、吐気などむち打ちの症状です)をきたす方もおられます。

交通事故直後は物損事故だと思っていた場合でも、体に変調をきたして通院する場合は、警察に人身事故の届出をした方が良いでしょう。後日相手方保険会社へ連絡を入れ、交通事故によるけがで通院することを伝えたものの、治療費の支払いを認めない態度に出た場合は、特に注意が必要です。

これらのケースの場合は、できる限り早期に、交通事故を多く取り扱う弁護士にご相談されることをお勧め致します。

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