コラム記事

交通事故による骨折について

2017.01.27 その他のお怪我後遺障害

骨折とは

骨折とは、骨が何らかの原因によって、その解剖学的な連続性を絶たれた状態をいいます。
骨折の原因による分類では、交通事故により強い外力が骨に加わって生じる骨折については、外傷性骨折と分類されます。

このほかに骨折の分類としては、骨折の部位による分類、骨折の程度による分類、外力が作用する方向による分類、骨折線の走行による分類など、多数の分類があります。

そのため、「交通事故で腕を骨折しました」という説明だけでは、腕のどの部位(上腕なのか前腕なのか)のどのような骨折(皮下骨折なのか開放骨折なのか、不完全骨折なのか完全骨折なのか、完全骨折でも粉砕骨折なのか否か)なのか不明であり、その後どのような治療経過をたどっていくのか、後遺障害が残りそうなのか分からない場合が多いです。

交通事故などによる骨折後の症状と診察を受ける上でのポイント

骨折をすると局所症状が生じるのはもちろんですが、骨折の部位や程度によってはショック症状などの全身症状が生じる場合もあります。

骨折によって生じる局所症状としては、腫脹(腫れ上がること)、疼痛、圧痛、機能障害(動かせなくなる、動かせる範囲が狭まるなど)、変形、異常可動性、轢音、異常姿勢などがあります。
骨折は、部位、程度、交通事故の外力が作用した方向、骨折線の走行によって、症状が大きく異なります。
そのため、交通事故の被害者の方によっては、骨折による症状があまり強くなく、むしろ骨折以外の痛みの方が強い場合、当初医師に痛みを訴えそこね、事故からしばらく時間が経過してから症状を訴えるというケースがあります。

このようなケースだと、交通事故とその骨折は関連性がないとの理由で、相手損保から治療費が支払われなかったり、治療費は支払われたものの慰謝料では考慮されなかったり、骨折後に後遺障害が残ってしまっても交通事故との関連性が不明なので後遺障害等級が認定されなかったりという事態になってしまいかねません。
交通事故に遭った場合、痛みや不自然な点がある部位については、とにかくすべてを早期に医師に申告し、検査を受けておくことが重要です。

交通事故による骨折後の検査と後遺障害のポイント

交通事故により骨折した場合であっても、正常な過程で治癒すれば、後遺障害が残らずに済みます。
しかし、骨折が癒合していく過程において、正常な骨癒合を阻害する因子(年齢、栄養状態、既往症、骨折の種類や部位、感染の有無等)が存在する場合、異常な経過をたどってしまうことがあります。
その結果、変形癒合(異常な形態で骨が癒合した状態)、遷延癒合(通常の期間では骨癒合がみられない状態)、骨癒合不全(骨癒合が途中で止まってしまった状態)などが起きることがあり、後遺障害が残ってしまうことがあります。


例えば、骨折が原因で関節が通常どおりに曲がらないという後遺障害が残ってしまった場合には、関節の機能障害として12級以上の後遺障害等級が認定されることになります。その場合、後遺傷害慰謝料だけでも裁判基準の金額は290万円以上となります。
また、骨折が原因で関節は曲がるが変形の後遺障害が残ってしまった場合には、変形障害として11級の後遺障害等級が認定されることもあります。その場合、後遺傷害慰謝料を裁判基準で算定すると420万円となります。
さらに、開放骨折や複雑骨折といった負傷をした場合には、同時に神経にも損傷をきたしている場合が多く、痛みを伴う後遺障害が残ってしまうことがあります。この場合は14級や12級などの後遺障害等級が認定されることがあります。その場合、後遺傷害慰謝料だけでも裁判基準の金額は110万円以上となります。


骨折の診断は、通常、画像検査で行われます。
交通事故による骨折の立証には、早期の画像検査が最重要であり、その後も定期的な画像検査を受けることが重要です。
交通事故後、何か違和感があれば、すぐに医師に申告し、XP(レントゲン)検査はもちろんのこと、部位に応じてはMRI検査、CT検査、3DCT検査などの画像検査をしてもらっておくことをお勧めします。
必要な画像検査の種類や検査の方法は、部位によって異なるので注意が必要です。

例えば、早期に画像検査をしているものの、XP(レントゲン)検査だけしか受けておらず、MRI検査もしていなければ不十分という場合もあります。
きちんと適切なタイミングで画像検査が行われるのであれば、骨折後の経過が画像検査の結果から明らかとなりますので、神経症状などの他の傷病と比較すると、後遺障害等級の認定に必要な証拠が集まりやすいです。
また、正常に骨癒合せず神経症状が残存してしまった場合や、正常に骨癒合しても神経症状が残存してしまった場合であっても、骨折後の神経症状の方が、骨折をしなかった場合の神経症状と比べ立証がしやすく、神経症状に対する後遺障害等級(12級ないし14級)が認定されやすいです。

交通事故などによる部位別の骨折名称

顔の骨折

顔面は11種18個の骨から構成されており、これらを単独で骨折する場合もあれば多数骨折(多発骨折)する場合もあります。
交通事故等によって特に骨折が生じやすいのは以下の部位とされています。
前頭骨、眼窩、鼻骨・篩骨(しこつ)、頬骨、頬骨弓部、上顎骨、下顎骨

肩周辺の骨折

交通事故による肩周辺の骨折として主なものは、鎖骨骨折、肩甲骨骨折、上腕骨近位端骨折です。

上肢の骨折

交通事故による上肢の骨折としては、以下の骨折が考えられます。

・上腕の骨折
交通事故による上腕の骨折として主なものは、上腕骨骨幹部骨折、上腕骨遠位端骨折です。近位端の骨折は、本項では肩周辺の骨折として整理しました。

・肘関節部の骨折
交通事故による肘関節部の骨折として主なものは、肘頭骨骨折、橈骨近位端骨折です。

・前腕の骨折
交通事故による前腕の骨折として主なものは、橈骨・尺骨骨幹部骨折、橈骨骨幹部骨折、尺骨骨幹部骨折です。

・手の骨折
交通事故による手の骨折として主なものは、橈骨遠位部骨折、手根骨骨折、第1(母指)CM関節脱臼骨折、中手骨骨折、指骨骨折です。
橈骨遠位部骨折には、Colles骨折、Smith骨折、Barton骨折、運転手骨折(ショフール骨折)などがあります。
手根骨骨折には、舟上骨骨折、有鉤骨鉤骨折などがあります。

椎体の骨折

脊椎は、7つの頚椎、12の胸椎、5つの腰椎、仙骨、尾骨で構成されており、脊椎の前方には椎体があり、椎体と椎体との間にはクッションの役目をする椎間板があります。その後方に頚椎から仙骨上部までは脊柱管があり、脊髄や馬尾神経が脊柱管の中に納まっています。
交通事故によって脊椎に関係した骨折として主なものは、頸椎・胸椎・腰椎椎体の圧迫骨折及び破裂骨折です。
レントゲン(XP)検査で確定診断が行われます。粉砕骨折や脊髄損傷がある場合は、CT検査やMRI検査も必要です。

その他の体幹骨の骨折

交通事故によるその他の体幹骨の骨折として主なものは、胸骨骨折、肋骨骨折、骨盤の骨折、股関節部の骨折があります。
骨盤の骨折には、大きく分けて、寛骨臼(かんこつきゅう)骨折と骨盤輪(こつばんりん)骨折の2種類の骨盤骨折があります。骨盤輪の骨折としては、腸骨翼骨折、恥骨・坐骨の単独骨折、仙骨骨折、尾骨骨折などが考えられます。
股関節部の骨折としては、外傷性股関節脱臼骨折、大腿骨近位部骨折が考えられ、後者は、発生部位によって、大腿骨頭骨折、大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折に分類されます。

下肢の骨折

交通事故による下肢の骨折としては以下の骨折が考えられます。

・大腿骨骨幹部骨折
大腿骨近位部骨折は、本項では股関節部の骨折として整理しました。

・膝関節部の骨折
交通事故による膝関節部の骨折として主なものは、大腿骨顆上・顆部骨折、膝蓋骨骨折、膝関節の骨軟骨骨折、脛骨近位端骨折です。

・下腿骨骨折
・足関節部の骨折
交通事故による膝関節部の骨折として主なものは、果部骨折・足関節骨折、脛骨天蓋骨折です。

・足部の骨折
交通事故による膝関節部の骨折として主なものは、距骨骨折、踵骨骨折、中足骨骨折、足踵骨の骨折です。

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